学校いじめ防止基本方針
2025年7月29日 12時33分学校いじめ防止基本方針
(令和7年4月改訂)
徳島県立小松島高等学校
1 いじめの防止等に関する基本的な考え方
(1) 教育活動全体を通じ、全ての生徒に「いじめは決して許されない」ことの理解を促し、生徒の豊かな情操や道徳心、自分の存在と他人の存在を等しく認め、お互いの人格を尊重し合える態度など、心の通う人間関係を構築する能力の素地を養う。
(2) いじめはどの子供にも起こりうる、どの子供も被害者にも加害者にもなりうるという事実を踏まえ、生徒の尊厳が守られ、生徒をいじめに向かわせないための未然防止に、全ての教職員が取り組む。
(3) ささいな事象であっても、いじめではないかとの疑いを持って、早い段階から複数の教職員で的確に関わり、いじめを隠したり軽視したりすることなく、いじめを積極的に認知する。
(4) 発見・通報を受けた場合には、特定の教職員で抱え込まず、速やかに組織的に対応し、被害生徒を守り通すとともに、教育的配慮の下、毅然とした態度で加害生徒を指導する。
(5) より多くの大人が子供の悩みや相談を受け止めることができるようにするため、学校と家庭、地域が組織的に連携・協働する体制を構築する。
(6) いじめる生徒に対して必要な教育上の指導を行っているにもかかわらず、その指導により十分な効果を上げることが困難な場合などには、関係機関(警察・児童相談所等)との適切な連携を図るとともに、平素から、学校と関係機関の担当者との情報共有体制を構築する。
(7)本校の学校いじめ防止基本方針は、「いじめ防止対策推進法」、「徳島県いじめ防止のための基本的な方針」に基づき、地域社会や本校の実態に応じて総合的かつ効果的に推進するために定めたものである。
2 学校いじめの防止等の対策組織
(1)組織の構成
生徒教育・いじめ防止対策委員会は管理職や主幹教諭、生徒指導担当教員、教育相談担当教員、学年主任、養護教諭、HR担任、部活動指導に関わる教員、学校医等により構成する。個々のいじめの防止・早期発見・対処に当たっては教育相談コーディネーター、副担任等、生徒が相談しやすい教職員を組織員に追加する。また心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者等の助言を得る。また、生徒がいじめ問題を自分のこととして捉え、解決に向けて主体的に取り組むため、専門委員会に「生活委員会(いじめ防止委員会)」を設置する。
(2) 組織の役割
① 学校基本方針に基づく取組の実施や具体的な年間計画の作成・実行・検証・修正を行う。
② 生徒・保護者や教職員からのいじめの相談・通報の窓口となり、報告を受ける。
③ いじめの疑いに係る情報や生徒の問題行動などに係る情報の収集と記録、共有を行う。
④ 緊急会議を開いて、いじめの情報の迅速な共有、関係のある生徒への事実関係の聴取、指導や支援の体制・対応方針の決定と保護者の連携を行う。
⑤ 生徒主体のいじめ防止啓発活動を実施する。
3 教育相談体制
(1) 教員と生徒及び保護者、さらには生徒間の好ましい人間関係の醸成に努める。
(2) 生徒の個人情報に配慮するとともに、教員に相談すれば、秘密の厳守はもとより、教員は必ず自分を助けてくれるという安心感や信頼感の醸成に努める。
(3) 定期的な教育相談週間やスクールカウンセラーとの面談日時等を設定するなど、生徒はもとより、保護者も気軽に相談できる体制を整備し、保護者からの相談を直接受け止められるようにする。
(4) 相談の内容によっては指導を継続し、必要に応じて医療機関等の専門機関との連携を図る。
(5) 生徒や保護者に対して、広く教育相談が利用されるよう、学校の内外を問わず多様な相談窓口について広報・周知に努める。
4 いじめの未然防止のための取組
(1) 教育・指導場面
① 「いじめは人間として絶対に許されない」との強い認識を、学校教育全体を通じて、生徒一人一人に徹底し、全ての生徒に対し、発達支持的生徒指導及び課題予防的生徒指導を行っていく。
② 教育活動全体を通じた道徳教育や人権教育の充実、読書活動・体験活動などの推進により、生徒の社会性を育むとともに、幅広い社会体験・生活体験の機会を設け、他人の気持ちを共感的に理解できる豊かな情操を培い、自分の存在と他人の存在を等しく認め、お互いの人格を尊重する態度を養う。
③ 教育活動全体を通じ、生徒が活躍でき、他者の役に立っていると感じることのできる機会を全ての生徒に提供し、生徒の自己有用感が高められるよう努める。また自己肯定感を高められるよう、困難な状況を乗り越えるような体験の機会などを積極的に設ける。
④ 生徒会活動などにおいて、生徒自身の主体的な参画によるいじめ問題への取組が促進されるよう適切な指導や助言を行う。
⑤ 生活委員会(いじめ防止委員会)は、学校生活において生徒自身が何をできるかを考え、行動していくための中心的な役割を担う。取り組み内容に応じて人権委員会等との連携を図り、よりよい学校づくりにむけて活動を行う。
⑥ 全ての生徒が心の通じ合うコミュニケーション能力を育み、規律正しい態度で授業や行事に参加・活躍できる授業づくりや集団づくりを行う。
⑦ 授業についていけない焦りや劣等感などが過度なストレスとならないよう、一人一人を大切にした分かりやすい授業づくりを進める。
⑧ ストレスを感じた場合、それを他人にぶつけるのではなく、運動や読書などで発散したり、誰かに相談したりするなどストレスに適切に対処できる力を育む。
⑨ ホームルーム活動の時間に、いじめに関わる問題を取り上げ、いじめは人権侵害であり、絶対に許されない行為であることを毅然と指導する。また、普段から生徒の言葉や態度等に注意を払い、不適切な場合は指導する。
⑩ インターネット上に他人を誹謗・中傷する情報を発信することは「いじめ」であり、決して許される行為ではないことを生徒に徹底するとともに、インターネットを通じて送信される情報の特性に関する学習や情報モラル教育について学校全体で取り組む。また、県がネットパトロールを実施していること、インターネット上の写真や文書は消去が困難であること、刑事罰や民事罰等が適用される場合があることにも触れて指導を行う。
⑪ 教職員の言動が、生徒を傷付けたり、他の生徒によるいじめを助長したりすることがないよう、細心の注意を払う。
⑫ いじめが解決したと見られる場合でも、継続して十分な注意を払い、再発の可能性も踏まえ、日常的に注意深く見守る。
⑬ 生徒が被災し、避難所に避難した場合でも、お互いが協力し合い、支え合う人間関係を築くことができる力を育てる。
⑭「おごり」という名目で「ゆすり」・「たかり」が行われている場合があるため、地域や保護者と連携をし、生徒の行動や交友関係を把握し適切に対応する。
(2) 家庭・地域社会との連携
① 学校いじめ防止基本方針や指導計画をホームページ等で公表し、学期の始期、入学式等で生徒、保護者や地域住民の理解を得るよう努める。
② 家庭や地域社会と連携して、いじめ問題の解決を進める姿勢を示すとともに、必要に応じて警察・児童相談所との円滑な連携や情報の共有を図る。
③ 状況に応じてPTAやコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)を活用したり、地域の関係団体とともに、いじめ問題について協議する機会を設け、いじめの根絶に向けて、地域ぐるみの対策を推進する。
5 早期発見・早期対応の在り方
(1) 各学期の始業式及び入学式等において、すべての生徒や保護者に対して、いじめを許さない学校の取組や、いじめられている生徒を全力で守りぬくことを明らかにし、生徒や保護者が学校を信頼し、安心していじめ等の相談をできるよう働きかける。その際、SOS相談窓口等を周知するなどいじめを訴えやすい体制を整える。
(2)「いじめ発見のための観察ポイント(教員用)」等を使用しつつ、日常的にいじめの発見に努め、生徒が発する危険信号(サイン)を見逃さず、その一つ一つに的確に対応する。
(3) 全生徒を対象としたいじめ発見のための調査を実施するとともに、個別面談等から、生徒の悩みや対人関係での状況をきめ細かく把握し、いじめの認知については、学校いじめ対策組織において組織的に判断する。
(4) いじめの把握にあたっては、教育相談担当教員、スクールカウンセラー、特別支援教育コーディネーター等、学校内の専門家との連携に努める。特にけんかやふざけ合い、けが等にも留意し、背景にいじめがないか確認する。
(5) 生徒に絶えず声かけを行い、生徒が日常使っている言葉や態度等に注意を払うとともに、気付いたことについて教職員の情報交換を密に行う。
(6) 生徒が欠席や遅刻をしたり、けがをしたりした場合は、必ずその理由を確認し、保護者と連絡を取る。
(7) いじめについて訴えや情報があった時は、問題を軽視することなく、保護者や友人関係等からの情報収集を通じて事実関係を正確に調査し、いじめを認知した場合は、速やかに県教育委員会に報告し、適切な連携を図る。
(8) 保護者に対して、学校行事や松高便り等を通じて、いじめ問題への関心をもってもらい、保護者からの情報提供を促す。
6 いじめの解消に向けた取組
(1) いじめの発見・通報を受けたときの対応
① いじめの訴えや情報及び兆候等があった時は、管理職の指示のもと、問題を軽視することなく、正確かつ迅速に事実関係の把握を行う。
② 学校いじめ対策組織において、速やかに関係生徒等から事情を聴取するなど必要な調査を実施するとともに、認知したいじめへの対応方針を決定する。
③ 職員会議等を通じて、いじめの情報を共有し、対応方針について全教職員の共通理解を図る。
④ いじめられた生徒、いじめた生徒への具体的な支援や指導について、教職員一人一人の役割分担を明確化し、組織的に対応するとともに、保護者に対して適切に情報提供を行い、連携・協力を図る。
(2) いじめられた生徒、保護者への支援
① いじめられた生徒を徹底して全力で守りぬく。
② いじめられた生徒が安心して教育を受けられるように必要な措置を講ずる。
③ 複数教員による家庭訪問を行う。
④ 本人や保護者に必要な情報を適切に提供する。
⑤ 本人や保護者の気持ちに寄り添い、要望や相談には適切に対応する。
⑥ スクールカウンセラーの活用等、専門家による継続的な心のケアに取り組む。
⑦ 特に配慮が必要な生徒の指導については、日常的に当該生徒の特性を踏まえた適切な支援を行い、周囲の生徒に対する必要な指導を組織的に行う。
(3) いじめた生徒への指導と保護者への助言
① 毅然とした対応と粘り強い指導を通じて、行為に対する十分な反省を促す。
② いじめられた生徒を守る観点から、必要に応じて別教室等での学習を行わせる。
③ いじめの背景を考え、行為に対する責任を明確にし、再発防止に努める。
④ 複数教員で家庭訪問を行い、保護者に説明を尽くし、理解と協力を求める。
(4) 他の生徒への指導
① 新たないじめを防止するための指導の徹底を図る。
② 傍観者や取り巻きもいじめを助長していることを理解させ、「いじめは人間として絶対に許されない」との意識を徹底させる。
③ 生徒自身の主体的な参画によるいじめの問題への取組促進などにより、いじめを許さない学校づくりを進める。
(5) 教育委員会等への報告と連携
いじめを認知した場合は、学校長が速やかに県教育委員会に報告し、適切な連携を図るとともに、必要に応じてスクールカウンセラー等の派遣を要請し、外部専門家の力を借りて対応する。
(6) 関係機関への相談・通報
① 恐喝、暴行、傷害等の犯罪行為として取り扱われるべきと認められる事案は、ためらうことなく早期に警察に相談し、警察と連携した対応を取る。
② 生命又は身体の安全が脅かされるような場合には、直ちに警察に通報する。
③ インターネット上のいじめやトラブルを未然に防止するため、「スマホ・ネット安全教室」等を活用する。事件発生時には、いじめに係る情報の削除依頼や発信者情報の開示請求について、必要に応じて警察や法務局に協力を求める。
④ 学校だけでは解決が困難な事案に対して、法律の専門家である弁護士(スクールロイヤー)の派遣を依頼し、専門的知識や経験に基づき、法的側面から適切な指導方法及び対応方法等について指導、助言を得て、問題の解決に取り組む。
⑤ 学校だけでは解決が困難な事案に対して、学校問題解決支援コーディネーターや専門家(医師・社会福祉士・公認心理師等)に相談するなど、組織的に対応できる体制を構築することにより、多角的な視点から問題の解決に取り組む。
(7)いじめの解消状態に向けての対応
① 少なくとも3か月間を目安として、再発の可能性を踏まえながら日常的に注意深く 見守る。
② カウンセラー等と連携しながら面談等を実施し、いじめを受けた生徒が、心身の苦痛を感じていないか確認する。
7 校内研修
校内研修(事例研究やロールプレイ)の計画を作成し、年に一回以上、いじめを始めとする生徒指導上の諸問題に関する校内研修を行い、全教職員の共通認識を図る。
8 重大事態への対処
いじめにより、生徒の生命、心身又は財産に重大な被害が生じたり、相当の期間学校を欠席することを余儀なくされたりしている疑いがあると認めるとき、重大事態として直ちに県教育委員会に報告するとともに、県教育委員会と連携して対処する。
9 取組の評価
(1) いじめ問題への取組等について、学校評価の項目に加え、自校の取組を評価する。
(2) PDCAサイクルの考え方に従い、年間計画で決めた期間の終わりには、「取組評価アンケート」等を実施し、その結果を踏まえてその期間の取組が適切に行われたか否かを検証する。
(3) 期待するような指標等の改善が見られない場合には、その原因を分析し、次の期間の取組内容や取組方法の見直しを行う。
10 年間計画(いじめ防止プログラム)
基本目標
・いじめは、どの子供にもどこの学校でも起こり得ることを踏まえて、いじめ問題に対して積極的に認知し組織的に取り組む。
・教職員や生徒が、学校内でのルールの検討や行事運営、運営啓発活動を通して、よりよい学校づくりを進めていく意識を醸成する。生活委員会(いじめ防止委員会)が生徒の主体的な活動の中心的な役割を担う。
・児童生徒の生活態度・意識を向上させるとともに、適切な人権意識を身に付けさせ、いじめの未然防止を図る。